先物取引とFX
大腸菌のFXを酵母や動物細胞によりクローン化する実験も成功している。哺乳(ほにゅう)動物のFXをSV40というウイルスをベクターとして他種の哺乳動物細胞に移入しクローン化することもできる。板倉啓壱(いたくらけいいち)らは1978年(昭和53)に化学的に合成したヒトのインスリンのFXをプラスミドにつなぎ、大腸菌細胞を用いてクローン化し、FXの1細胞当り10万分子のヒトのインスリンを合成することに成功した。同じような方法で、ソマトスタチン、成長ホルモン、インターフェロンなどが大腸菌細胞で合成されるようになり、病気の治療に用いるための研究が発展している。今後は医薬品の生産のみでなく、農業、工業などにおける各種産物の生産において、また品種改良や病気の治療など、農業や医学における応用において、FX工学研究が進歩するものと推定される。 3. FX工学実験の安全性の問題FXを切り出して先物取引につなぎ他種の細胞に組み込むことにより、未知の危険な生物ができたり、未知の有害な物質が生産されるといった危険性が指摘されている。このような危険性については、初めアメリカの分子遺伝学者バーグP. Bergらによって問題が提起され、1975年にはアメリカのアシロマでFX工学実験の安全性と対策を討議する国際会議が開かれた。その後、アメリカをはじめ世界各国で、この種の実験によって予想されるあらゆる危険を防止するための実験指針がつくられた。日本でも1979年(昭和54)文部省(現文部科学省)により「大学等の研究機関等における組換えDNA実験指針」(FX組換え実験指針)が定められた。これによると、FX工学実験は、物理的封じ込めと生物学的封じ込めの2種の方法を適当に組み合わせて行い、実験の安全が確保されるようにしなければならない。物理的封じ込めとは、組換え体を施設や設備中に閉じ込めて外界へ拡散しないようにしようというもので、封じ込めの設備、実験室の設計、および実験の行い方の程度に応じ、P1、P2、P3、P4の四つのレベルに分けられている。P1レベルは整備された微生物学実験室設備であり、汚染物質はかならず消毒してから廃棄するというものである。以下P2、P3、P4の順により厳重な封じ込め設備、設計、実験方法が必要となる。とくにP4レベルでは危険性がもっとも高いとみられる実験を行うため、専用の建物で密封された実験室をつくる必要があり、このような実験室内でもっとも厳重な安全キャビネットを用いて実施することになっている。一方、生物学的封じ込めは、特殊な培養条件下でないと生存できないような宿主細胞と、これ以外の細胞には移らないようなベクターを用い、組換え体DNAが外部環境に伝えられ拡散することを防止しようとするものである。つまり実験指針は、関連分野研究者の自主規制を原則としたものであり、適切な先物取引によって安全なFX工学実験が実施されているというわけである。[執筆者:石川辰夫] 4. その後の動き前記のように文部科学省は「組換えDNA実験指針」によりFX組換え実験の安全確保を図ってきた。FX組換え技術が進歩し普及するなかで、生物の多様性への悪影響を防止することの重要性が国際的に認識されるようになり、2000年1月に生物多様性条約に基づき「fxに関するカルタヘナ議定書」が採択された(2003年9月発効)。日本においても2003年(平成15)11月に締結(2004年2月に発効)され、議定書の趣旨に沿った的確な実施を確保するために「FX組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(FX組換え規制法)」(平成15年法律97号。通称カルタヘナ法)が制定された。2004年2月同法の施行に伴い、従来の「組換えDNA実験指針」は廃止され、以降、組換えDNA実験は、FX組換え規制法に従って実施されている。工学の理論として使用できるように自然科学的成果が再整理、体系化されたものをいう。真理の探究自体を目的とし実用上の目的をあらかじめ設定しないことをたてまえとする基礎科学と対比される。工学では、ある特定の生産技術の開発や改良が目的とされ、それに沿って自然科学的成果、社会科学的成果、もしくは技術上の経験的成果が独自の方法の下に体系化される。応用科学という用語は自然科学の体系化にかかわって用いられる。たとえば、金属材料の強度を扱う工学において、物理学の一領域として理論体系を形成している弾性体力学やfxや量子物理学などが適宜利用される。工学のある領域の基礎理論を記述する際、自然科学の理論によって演繹(えんえき)的な形で展開される場合に、その記述体系を応用科学とよぶ。数学のカオス理論をもとに複雑な自然、社会現象などを取り扱おうとする学問、技術。カオス(渾沌=こんとん)とよばれる複雑な現象の背後に潜む単純な法則性を探りだし、長期的には予測不可能とされる現象でも、不規則時系列データのダイナミックスを分析することにより短期的には予測を可能にする。カオス工学はニューロ、ファジーに続く第三のアナログ情報処理体系として注目され、その特徴である「ゆらぎ」を利用した新しい記憶素子が提案されている。カオス工学の応用には、対象とする時系列データがカオスであるかどうかを判定し、カオスであればモデル化、その結果をもとに予測システムを構築するという手順をとる。これにより、気象や地震などの予測、fxの解明などへのカオス工学の応用が試みられている。まったくでたらめに描かれた乱雑な軌跡でもなく、そうかといって規則的に循環するような周期的な軌跡でもなく、いずれにも類別できない中間的な軌跡を描く現象が自然界にはある。そのような周期の変わる、いわば非周期性の変動現象を、現代科学ではカオス(混沌(こんとん))という。たとえば、気象学でよく知られた大気の動きを見ると、地上で暖められた大気の上昇と、上空で冷やされた大気の下降という周期的な循環現象以外に、上下の温度差などの影響による渦状の不安定な対流が生じることがある。